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モノしろ の 「し」

モノしろ の 「し」

モノしろ

試験的に貼る

モノしろ            全年齢対象じゃないっぽい


はぁ、はぁ・・・。
どうやって殺してやろうか・・・。
・・・・・・・・・・・白。
やつらめ、憎い。憎い、憎い・・・・・!!
白、白、白。
この世界は、俺のものだ。
白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白

6月6日

カチッカチッ・・・
マウスをクリックする音。
曲を共有ソフトでダウンロードする。
とりあえずiTunesに入れる。
俺の名前は高井 優明(たかい ゆうあき)。普通の高校二年生。
いや、普通というのも少し語弊があるらしいのだが。
今日もパソコンでネットゲームやら○○ゲーやらをたしなむのが普通といえば、普通。
いわゆる・・・・まぁ、口にはださないでおこう。
だからといって、引き篭もってハァハァしているだけかといえば、全くそうではないから安心して欲しい。
さて、音楽を早速「しろまる」に入れるか。
しろまるというのは、俺のiPodの名前だ。IPodに名前つけて可愛がっているというわけだ。
んと・・・?どこだろう。しろまるがみつからない。

???:「ハァ、またアニソンか・・・。そんなのばかり聴いてると頭が変になるぞ。」

後方からなにやら失礼な言葉が飛んだ。
はて、今は部屋には自分ひとりのはずだが。
全く動じず振り向いてみると、そこには色白でハンサムチックな青年がいた。
服は白で統一されていて、なにやら頭に変なアクセサリをつけている。
服の端には、ディスプレイとでもいうのだろうか、モニターのようなものがくっついていた。
だ・・・・誰だ!?っていうかその格好はなんだ!?
優明:「だ、誰だよ、お前・・・。勝手に俺の部屋に入ってきて、な何、泥棒?」
恐れずに問いただす。見たところ、強盗とかではなさそうだが。
???:「俺の名前は白丸と言う。ご主人様の、iPodだ。」
ご主人様というのは、どうやら俺の事を指して言っているらしいが。
おふざけも大概にして欲しい、この不法侵入者。何が俺はiPodだ、だ。
白丸?:「信じられないかもしれないが、本当だ。ホラ、ここのシリアルナンバ・・・うぁ?」
なにやら背中に書いてある番号を見せようとする白丸?だが、無視して扉の外まで追いやった。
優明:「警察には言わないでいてやるからすぐ帰んな。」
キメて、バタンと扉を閉める。
面倒に巻き込まれたくないのとこの頭が変なヤツが何をしでかすかわからないので、とりあえず、ヤツを外に出したはいいのだが・・・・。
あいつどこから入ってきたんだ?思わず家の中に押し返してしまったじゃないか・・・。
優明:「いいや、忘れよう。あれ?俺のiPodはどこだ?曲を入れなきゃいけないってのに。」
白丸:「だから俺だって。」
優明:「うわっ?」
白丸が扉を開けてこっちを覗く。鍵しめろよ、俺。
ん?白丸・・・?なんで俺のiPodの名前を知ってるんだ?まさか・・・。本当に・・・?
いやいや、まてまて。そんなどこかのギャルゲーみたいなことが実際起こってたまるか。何を考えてるんだ、俺は。
くるりと椅子を回転させ、白丸に言う。
優明:「じゃぁ、お前が本当に白丸かどうか証拠はあるのか?」
こんなおふざけにもかまってやる俺ってとっても優しいな。
白丸?:「そうだな、音楽を再生してみたら、ご主人様も信じるかもしれない。」
白丸はそう言いつつ、頭のアクセサリのボタンを押す。ポチっと。
白丸:「君の手っで~♪きーりさいって~♪!とーおいっ日の~♪・・・」
優明:「ぐわぁぁぁぁ!!?うるさっ」
ものすごい音量でいきなりメリッサを歌いはじめる白丸。
白丸:「あ、まずい、音量がMAXになっていたか。」
くるりと頭のアクセサリを指でなぞると、歌声は小さくなった。しかし・・・これは・・・。
なんと、歌っているのは白丸だが、声はハルイ○。ポルノグラ○○ティのボーカルの声ではないか。そして何故かシャンシャン(ドラムの音を優明の脳内で変換した音)とかギターの音まで入っている。どういう仕組みなんだ・・・??
こんなこと、人間には不可能である。今のはあきらかに口パクでは無かった。
服にくっついていた液晶画面にも、メリッサの曲名やらなんやらが表示されていてまんまiPodだ。
しろまるが、人間になった・・・?信じられないが、信じるしかないのか。
こんな凝ったことをする人間がいるとは思えない。
ここは・・・。信じてみよう。いや、信じるしかない。こいつはiPod。人間になってしまった俺のしろまるだ。はぁ・・・馬鹿なのかこの世界。
白丸:「ご主人様は、これで信じたか?」
優明:「ああ、信じた信じた。でもご主人様はやめてくれ・・・。男にそう呼ばれるとなんか怖いから。ユウアキでいいよ。」
白丸:「承知した。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
しばし沈黙。
白丸:「ところで、ユウぽん・・・」
優明:「ユウアキでいいっつってんだろが!!無駄に親しく呼ぼうとするそういう努力やめて。キモいから。怖いから!」
白丸:「ところで、優明。電話が鳴ってるぞ。」
さらりと流しやがった。白丸に気を取られていて気付かなかったが、たしかに携帯のバイブが鳴っている。
携帯の画面を見てみると、『樋本 紗代菜』(ひのもと さよな)と表示されている。
紗代菜。こいつは、俺の幼馴染で、俺の彼女であるが、告白したのはつい最近。
あのときは満面の笑みでOKしてくれたものだ。
通話ボタンを押す。
優明:「もしもし?」
紗代菜:「・・・・ユウくん・・・?」
優明:「なんなんだ、紗代。どうしたよ?なんか用事?」
紗代菜:「ひ、ひどいよ。今ユウくんの家の前。今日遊びにきてもいいって約束!忘れてたの??」
・・・そうだった。すっかり忘れていた。
ギャルゲーとかネットゲームとかやってる場合じゃなかった。
優明:「悪い悪い、忘れてた。ちょっと待っててくれ。」
紗代菜:「・・・・もう、入ってきちゃったんだけど・・・・。」
その声は、携帯からではなく、自分の部屋の開いている扉の前から聞こえてきた。
こいつもよくもまぁ勝手にあがり込むもんだ。
紗代菜:「ゆっユウ君の部屋、すっすごいね・・・・・・・。」
俺の部屋に貼ってあるアレなポスターやら置いてあるフィギュアやらなんやらを見て驚いている様子の紗代菜。
・・・片付けるのを忘れていた。これは相当マズイよなぁ。
軽く落ち込んだ。
白丸:「泣くな、優明。」
優明:「泣くか!!」
とりあえず、開き直って紗代菜を部屋に招き入れる。
優明:「ふぅ・・・。まぁいいや。さて、紗代。なにする?」
紗代菜:「そんなことより、この人はだれ・・・??」
紗代菜が白丸を指さす。あちゃー。どうすんだ、こいつをよ。
白丸:「俺は優明様の所有物だが。」
・・・・・・
紗代菜:「え?・・・・ユウくん・・・・。」
何か言いたげな、それでいて冷ややかな目でこっちを見る紗代菜。ちょっと冷や汗とかでてる。きっと何かものすごく危ない勘違いをし始めてしまっているんだと思う。
優明:「違う違う!!確かにそうだけど違う!所有物??白丸君あらぬ誤解をうむ発言はやめて!!大体、さっき優明で統一しただろ??何優明様って。お前わざと言ってるだろ!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
紗代菜への誤解もとけて、結局今日は三人で楽しく遊んだ。
俺も白丸に随分馴染んでしまったし、もうこのままでもいいかとか思い始めた。

紗代菜:「ユウくん、白丸、じゃぁね、ばいばい!」
優明:「ばいば~い。」
笑顔で送る俺。紗代菜は柔軟な脳みそで白丸がiPodだということに納得していた。あいつ、大丈夫か・・・?いや、信じている俺も大丈夫じゃないのか。
優明:「ふう・・・。」
思わずため息が漏れる。白丸を見る。
どうしようこいつ。まさか、一緒に寝なければいけないのか・・・・?
まさか両親にこんな奴がいるところを見つけられたらたまらない。
友だちで押し通したところで、俺の部屋で一緒に寝るということは避けられないだろう。
優明:「俺の部屋で寝るの?お前一体これからどうすんの。」
聞いてみた。
白丸:「俺は優明の所有物だから、いつも一緒。寝る分には問題は無い。」
なんだかキャラが不安定な白丸。この好青年的容姿で「いつも一緒。」とかすごく不自然。しかしそういうキャラならいたし方がない。
優明:「問題無いって?」
俺が再度白丸を見ると、いない。あれ?どこへ行った?
白丸がいた床には俺のiPod、「しろまる」が落ちていた。



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